2021-06-21 07:39:18
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コメント(3)
例えば。校長先生のながなが話。大人になってからニュース見ると、画面の向こうでお偉いさんが覚えた資料を、虚ろな目暗唱するのを聞くのと変わらない気がする。
そんな退屈な朝の集会で、最後に校長先生からチクリとした生きてる言葉が放たれた!
「ミョウガ坂で、危険な自転車遊びをする生徒がいて、大変惑していると、学校に電話が入りました」
ザワザワ、ザワザワ。ミョウガ坂ってどこ?ねこさかのことじん?ガヤガヤ。
にわかに活気に溢れる生徒達。
「うそぉ「「ええ?」ガヤガヤに紛れて驚くまりもとミルイ。
「静かに!学校としては、坂道で下りる時は出来るだけ、自転車から下りて、押して進む方が安全と考えております」
えええー!と言いたげな、生徒の視線を跳ね飛ばす、校長先生はここぞとばかりに、存在感を発揮をした。
「危ない事や、迷惑をかける事は、してはいけません。これは校長先生との約束です!」
ぞろぞろと教室に戻った生徒達。まりもとミルイは頬を膨らませて、怒っている。
その様子を見た男子が、お前らの事やったんか?と聞いてきた。
そう!私達だし!声を揃えた二人。
「ねこさかって、スピード落ちるじゃんか、レースやるなら、お宮さんの裏手の心臓破りの坂が最高だよ?」
「あの!ガタガタ道が、スリル満点で最高!だよなぁ。ゴールは駐車場だし、お祭りのとき以外、誰もいないし、今日学校終わってから行こうぜ!」盛り上がる男子達。
「ええ?あそこ!砂利道だから怖いよ。そりゃぁ、麓はお宮さんの駐車場で、一旦停止もないし、一気に下りても危なくないけど。怖いもん!」男子のそれにむくれる二人。
「うん、まぁ、俺たちもちょっと前まで、ねこさかでやってたけど、チクられた事ないぞ?誰だろ、チクったやつ」
ガヤガヤ、ザワザワ。教室が賑やかになる。
「どっかのおばさんかなぁ。家、道沿いにあるよな」
「頂上のねこ屋敷の人なんじゃね?見てて危ないなぁと思ったとか……、お前ら、見られたの、気が付かなかったのかよ」
うーん……。顔を見合わせ考える、まりもとミルイ。
「気がついた?まりもちゃん」「ええ?誰もいなかったよ?」
二人は思い出す。あの日、ガランと寂れた坂道の風景。
……、上りは自転車を押して、ぺちゃくちゃ喋って進んだ。お気に入りの雑誌のコーナー、『リクエスト募集中』に応募したから、もしかしたらもしかすると。当選して、ちっちゃくて可愛い、フェルトアートが送られて来るかもしれない!楽しみー!なんて話をして。頂上にたどり着いて……。それから。「あ!」「あ!」二人は揃って声を上げた。
「なんだよ、思い出したのか?誰だ?チクったの!」男子の問いかけに答える、まりもミルイ。
うん!きっとあの!ミョウガ坂の赤い原チャリオトコだと思う!
無邪気な子ども達の中に放たれた存在は……。
無邪気な都市伝説へと変貌を遂げるには。
半日あれば充分。
私の好きな展開になってきました(^O^)/。勇次郎の運命は!
菖蒲田山椒様
あちこち伏線を張って、それを回収するのが楽しいのです♡